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高原 省五
放射線生物研究, 55(2), p.162 - 172, 2020/06
本稿は、低線量リスク委員会(日本保健物理学会と日本放射線影響学会の合同委員会)での取り組みを取りまとめた報告書の一部である。本委員会では、低線量リスクの放射線安全規制の基盤となる放射線疫学から放射線生物学の現状認識、さらには、社会的背景との関連性をも検討して、これらの知見が放射線安全規制にどのように繋がっているのか、放射線科学の生物, 疫学, リスク,防護の各専門分野を超えたコンセンサスレポートを作成した。本稿ではこれらの議論から得られた成果のうち、低線量リスクに関する放射線防護の基本的な考え方を取りまとめたものである。1985年にレントゲンにより放射線が発見されて以降、どのような健康影響が生じてきたのか、また、どのようにしてそれらの影響から人々を防護してきたのかについて整理した。また、福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえながら現在の放射線防護体系の基本的考え方を整理しつつ、今後の事故後対応に向けた課題を抽出した。
水下 誠一
第39回原子力総合シンポジウム予稿集, p.33 - 41, 2001/04
日本をはじめ各国の放射線防護基準は、ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告を取り入れている。ICRPの勧告し、基本となる放射線リスク評価から放射線防護の実際まで多岐に渡っており、全体の防護体系は非常に複雑なものになっている。このため、新しい要請等に応えることが困難になりつつあり、統一的で、かつわかりやすい新たな放射線防護体系の構築の必要性が認識されている。このような状況にあって、ICRPは放射線防護の新たな基本勧告の刊行を2005年に計画している。この防護原則の中心となる概念として、ICRP委員長のR. Clarkeが1999年にコントローラブル線量を提唱し、さらにICRPの2000年会合において、より具体的な新しい放射線防護体系を提案している。これまでのこれらの議論の状況について解説し討論する。
高原 省五
no journal, ,
低線量リスク委員会(日本保健物理学会と日本放射線影響学会合同委員会)では、低線量リスク推定の現状と課題をコンパクトに整理し、放射線防護の基礎にある科学的理解と社会的理解を加速するため、共通認識の構築を目指して議論を深めているところである。本発表は、低線量リスクに関するコンセンサスと課題のとりまとめに向けて現在の検討状況を委員から紹介するとともに、広く意見を求めるために実施するものである。発表は第1章第9章で構成する予定であり、報告者は第9章「低線量リスクに関する放射線防護の考え方」について発表する。国際放射線防護委員会の勧告を中心に、放射線影響の歴史と防護の考え方の変遷を整理した。